1人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
「稲村ヶ崎は今日も雨―――」
ここはカラオケ。明日の入学式のお祝いにと中学の友達と遊びに来ている。
お祝いと言っても卒業してから毎日のように遊んでたからなにか違う気がするな。
まぁ、でもそんな生活も今日で最後だ。高校には中学からの知り合いもいないし、こいつらとこうやってバカするのも今日で最後なんだなと思うと少し悲しい。
「―――首ったけ~」
そんなことを考えながら友達の歌を聞いていたらあっという間に曲が終わっていた。
「おいっ!優どうした?ぼーっとしてたけど……」
「いや、別に……ただお前らとこんなバカできるのも今日で最後なんだと思うと少し寂しいなってな」
「………」
「………」
俺がそう言うとみんながうつむき黙ってしまった。
「わりぃわりぃ!しんみりしちまったな。じゃあ次、木下優斗、十八番歌いまーす」
――――
―――
――
―
「ふっはは!優そんなのがお前の十八番なのかまじ面白すぎて死ぬかと思ったよ」
「そうだよ!俺達全員笑い死にさせる気か」
「えーまじかっ!俺真面目に歌ったのにそんな面白かったか?」
「お前それで真面目とか下手くそ過ぎだよ」
「なんだとー」
一斉に笑いが起こる。高校になってもこいつらみたいないい奴に出会えたらいいな。
最初のコメントを投稿しよう!