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彼は、あくまで自分を心配してくれて反対している。
その心が判ったとて、アンシェロントの決心は揺るがなかった。
これも、彼のためなのだから。
「ジェロは……ジェロはどこの馬の骨かも判らない異質な五歳の子供だったあたしに、手を差し伸べてくれた。あたしに光をくれた。
ジェロはあの時あたしに、俺の光になれって言った。でも、実際光になってくれたのはジェロだよ。
この世界のことを知らない異物のあたしを見守ってくれて…今まで世話を見てくれた。
だから、ジェロに恩返ししたいのっ。家の掃除とかそういう恩返しじゃなくて、ジェロに楽をさせてあげたいの。迷惑掛けるだけじゃなくて、ジェロの役に立ちたい!
どうして…判ってくれないの?」
目元に溜まった涙を零すまいと、瞬きをせずにジェルブロートの背を見据える。
だが、彼は何も言わなかった。
数分してやっと、
「すまないが、今日は帰ってくれ」
「ジェロ!? あんた、酷いよ!」
シドゥエドに罵られても、ジェルブロートは何も言わなかった。
「もういいよ。帰ろう」
ケンタがそう言い、みんなが家を後にした。
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