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「座れ」
皆が去ってからしばらくしてから、そう言われた。
言われたとおり、アンシェロントは不満そうな表情をしつつジェルブロートと向かい合って座った。
「おまえは、おまえが今までずっと迷惑を掛けてきたと思っているのか」
無言で頷く。
「バカ。おまえは居るだけで役に立っている」
ジェルブロートの言葉に、アンシェロントは顔を上げた。
「俺はガキの頃早くに両親を亡くした。それから騎士隊の総隊長に引き取られ、心を無くして訓練に着いて行った。
だから、愛とか…ホンモノの幸せを知らなかった。だがそれを教えてくれたのは他ならぬおまえだ。
チビのおまえが、本当に嬉しそうに笑うから…俺はおまえと一緒に居なければならないと、感じた。だからこうして一緒に暮らしてる。
そうでなければ、あの場でおまえも血の池に加えていた」
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