光の決心

10/12
38人が本棚に入れています
本棚に追加
/180ページ
「…………」 「働く気、本物か?」 「ん」   頷いてみせるアンシェロントをじっと見据え、末に溜め息を吐く。 「許可する」 「え?」 「働いてもいいっつってんだ。ただし、無茶だけはするな? もしするようだったら、店に殴りこんでおまえを辞めさせる。おまえは…俺のたった一人の家族だ」   口元を吊り上げてふっと笑うジェルブロートを見つめ、アンシェロントは顔をくしゃっと歪めた。 だが、決して涙は流さない。 「おまえは変わらないな。戦場で泣いていたっきり、泣かなくなった。もう、おまえの涙を覚えてない」 「覚えてなくていいよぉ。恥ずかしいじゃん。あたしだって、強くなったんだよ。ありがと、ジェロ」   ジェルブロートの隣に座りなおし、ぎゅっと彼に抱きつく。
/180ページ

最初のコメントを投稿しよう!