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「…………」
「働く気、本物か?」
「ん」
頷いてみせるアンシェロントをじっと見据え、末に溜め息を吐く。
「許可する」
「え?」
「働いてもいいっつってんだ。ただし、無茶だけはするな? もしするようだったら、店に殴りこんでおまえを辞めさせる。おまえは…俺のたった一人の家族だ」
口元を吊り上げてふっと笑うジェルブロートを見つめ、アンシェロントは顔をくしゃっと歪めた。
だが、決して涙は流さない。
「おまえは変わらないな。戦場で泣いていたっきり、泣かなくなった。もう、おまえの涙を覚えてない」
「覚えてなくていいよぉ。恥ずかしいじゃん。あたしだって、強くなったんだよ。ありがと、ジェロ」
ジェルブロートの隣に座りなおし、ぎゅっと彼に抱きつく。
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