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「ごめん……」
いつもなら大慌てするはずなのに、それをしないアンシェロントを、ジェルブロートはじっと見据える。
「言ってみろ? 俺はおまえの家族だ」
「うん……。でも、言ったらジェロ、怒るもん」
ジェルブロートの事で店主と喧嘩をしたこと。
ラングビには、ジェルブロートには内緒にしてくれと頼んだ。
彼が聞けば、呆れて大きな拳骨を落とされるだろうと思った。
自分が怒るようなことをアンシェロントがしただろうというのに、ジェルブロートは怒らなかった。
ただじっと、アンシェロントを見据えている。
そして、おもむろにキャンディを彼女の目の前に出す。
「?」
「疲れたときには甘いもの、だ。人生に疲れたときにでも舐めろ」
「ジジ臭」
ぼそりと呟きながらもキャンディを受け取り、それを回して見る。
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