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「…ずっと俺を呼んでいたのは、君かい?」
降り積もった雪に顔を埋めて倒れていた私の耳に、落ち着いてはいるがどこか幼さのある声が聞こえてきた。
…誰…?
ゆっくりと顔を上げる。
そこに居たのは、黒服に身を包んでいる、私よりも少し歳上くらいだと思われる少年だった。
「孤独の悲しみの中に、何かに対する憎しみを感じる。ふっ…とても大きな憎しみだ。」
当時、学年でいうと小学三年生だった私には、彼の言葉の意味がよくわからなかった。
…だが、確かに感じたのだ。
彼に、どこか自分と似ているものを。
「…?」
気づけば私は、彼のズボンの裾をつかんでいた。
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