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事の発端。
それすら判然とはしない。
それでも、3人はそこに来た日を鮮明に覚えている。
「…ん…」
凛子は、固く冷たい地面に違和感を覚え、未だ覚めやらぬ意識の中、ゆるりと半身を起こす。
「え…?
ここは…」
頭がよく働かず、事態が飲み込めない。
薄暗い室内、敷き詰められた石畳と石造りの壁や天井。
自分はこんな場所を知らない。
見渡すと、自分の他に2人倒れていた。
「っ!」
思わず悲鳴を上げそうになるが、寸前でブレーキを掛ける。
状況が飲み込めない。
ふと気付くと、足下に何らかの記号の様なものが幾つも広がり、淡く輝いていた。
それは大きく円形になぞらえてあり、自分を含めた3人の居る床下にだけ描かれてあった。
横たわる2人を確認する。
年の頃は自分同様、十代半ば程だろうか。
「…ちょっと、貴女…」
活動的な黒のショートカットの少女に近付き、恐る恐る肩を揺する。
「ん…」
意識は無いが生きている様だ。
ホッと胸を撫で下ろしたのも束の間。
「お、目覚めたみたいだね」
部屋の片隅からの声。
突然の声に、凛子は反射的に振り返る。
「誰っ!?」
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