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「これじゃ何も分からないままだよ。
まずはその人の話を聞いてから判断しても、遅くはないと思う。
ね?」
優しく諭す様に、みちるは凛子をなだめる。
そんなみちるを、凛子はまじまじと見やる。
「…そうね。
感情的になっても、何も始まらないものね。
いいわ、聞いてやるわよ。
でも、つまらない事言い出したら張り倒すわよ!」
意外と素直に引き下がる凛子。
だが後半の、男に対しての物言いには依然高圧的な態度が続く。
凛子との間には見えない壁があるのだが、それでも男を怖じ気付かせた。
「あ…はい。
頑張ります…」
こんな恐ろしい女がいるのかと、脱帽せずにはいられない。
“かなり怖いんですけど…”
頭の中で、男は慎重に言葉を選んだ。
「えっと、自分、フランツと言いまして…
魔法の研究をしているしがない者です」
「はぁ?」
凛子達にしてみれば、魔法など絵空事の域を出ない。
「魔法って…
あんたどこの変人よ?
そんなもの在るわけないじゃない。
手品かなんかの事言ってるの?」
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