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『硬いわね』
「あいちゃん!」
『うん!』
頭に直接響くのでは無く、隣合って語り合う感覚。
だが光の剣を手に魔物と相対するのは、全身を淡く輝かせる、小柄な少女1人だ。
ショートカットにハーフパンツ。
活動的な、幼さを残す少女が、二足歩行の魔物の長い鋭爪の斬撃をいなして宙を舞う。
猫科特有の頭部を持つ魔物の体高は、2メートル半を越えていた。
魔物は次々と剛腕を振るい、少女はその攻撃を的確に回避し、光剣で爪を受ける。
体格差がかなりあるにも関わらず、少女は力負けしていない。
直ぐ様振るわれた鋭爪を身を屈めてかわし、少女は魔物の脇腹を斬り付けた。
しかし、堅牢な体毛に阻まれ傷は浅い。
「ガアアアッ!」
雄叫びを上げ、魔物は間髪入れず真横に剛腕を振るってくる。
剣を振り切った状態だったにも拘わらず、少女は身を翻しつつ真上に跳躍、襲いくる鋭爪を更に光剣で受け流すも、その小柄な身体は回転するように弾かれた。
「はああっ!」
しかし少女は、それで得た反動をも利用し、遠心力を乗せた斬撃を放つ。
流れる様な剣さばきは、まるで舞のよう。
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