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「えっと…
そろそろいいかな?」
部屋の中にあった椅子を浮かせていた所で、フランツはショーの終わりを確認する。
あまりに幻想的な現象に見入っていた3人は、何を促しているのか、直ぐには分からなかった。
「え、ええ…そうね。
それじゃあ、本題に入って頂ける?」
凛子がようやく理解し、フランツを仰ぎ見る。
フランツは小さく咳払いし、まずは自分が何者なのかを語り出す。
「僕の職業、というか生業は、魔法の研究で、主にこの国からの依頼を受けて遂行しています。
趣味の研究を続ける口実だけどね」
素直に耳を傾ける3人。
だが疑問だ。
自分達の世界の常識と、彼が当たり前の様に語る魔法の力。
ここは、自分達の知る世界なのだろうか?
「で、今国から受けてる依頼が、『転移』の実用化。
『転移』…正しくは『転換移動』は、それぞれの『存在位置』を置換する事によって発生する、座標移動術を指す。
魔法として発動するには非常に高度な技術だけど、これが普及すれば事実上、距離の違いに関係無く物資の搬送なんかが行える。
今、国が最も注目している技術なのさ」
誇らしげにフランツは語る。
「…そんなすごい技術なら、何であんた1人でやってるのよ?」
凛子は浮かんだ疑問を口にする。
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