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「魔法陣の作成途中で、いきなり別座標からの介入を受けたんだ。
次に気付いた時には、君達がここに居た」
暫し、沈黙が訪れる。
「…え~と、どゆこと?」
愛が沈黙を破る。
「僕にも解らない。
完成してもいない、魔法陣の構成をも無視して、君達が現れた。
どういう作用が働いたのか不明だから、僕は君達に聞くつもりだったくらいだよ。
でも、魔法を知らないくらいだ。
君達も分からないんだよね?」
フランツの問いに、みちると愛はおずおずと頷く。
凛子は、何事かを考えていた。
「…私達を閉じ込めているのは、それを聞き出したかったから?」
凛子は鋭い目付きでフランツを見据える。
「違う」
正面から凛子の視線を受け止め、はっきりと、フランツは断言する。
その瞳に、悪意は無い。
「じゃあ、何の為?」
凛子から、フランツに対しての嘲りが消えていた。
今はただ、その真意を量るのみ。
「君達を守る為だ」
「何から?」
「君達自身から」
それは、予期せぬ言葉。
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