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「『存在位置』が完全に重なっている君達がどうなるか分からない。
だから、僕は君達を外界から遮断した」
説明の全てを理解しきれた訳ではない。
しかし、自分達が危機的状況に在る事だけは分かった。
「それは、どうにか出来るものなの?」
「分からない。
君達にした措置も、あくまで時間稼ぎだ。
現状維持でも、どこまで通用するか不明だよ。
なんせ、過去の事例なんて無いからね」
魔法を知る彼でさえ、頭を悩ませるのだ。
自分達に解決策など浮かびようもない。
「魔法で、私達に個別の『存在位置』を与える訳にはいかないの?」
だが、凛子だけは違った。
与えられた情報だけで、最善を模索する。
「『存在位置』とは、そこに存在するから成り立つものだよ。
言うなれば、君達そのもの。
重複している状態のままでは、恐らく付与する事なんて出来ない。
するとしたら、今ある君達の『存在位置』を分散するのがいい。
いや、でもそれだと同一の『存在位置』が複数生まれてしまう。
う~ん」
途中から独り言になっているフランツ。
どうにもならない状況に頭を抱える。
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