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「提案なんだけど、まずは、自由に動ける様になった方がいいと思うんだ」
数時間後、フランツが戻るなりそう切り出した。
「ここから出られるの?」
「理論上はね」
凛子の問いに、フランツが笑顔で応える。
「どうするの?」
フランツは説明の仕方を考えてから口を開いた。
「多重人格って分かる?」
自分達も知る言葉が返る。
「え?
ええ」
凛子が頷き、みちると愛が注視する。
3人の中で、役割が決まりつつある。
「例えるなら、『存在位置』が身体で、人格が君達。
この例えで言う、人格が入る共有フィールドを、新たに作る。
身体に顕れるのは1つの人格。
残る2つの人格が、共有フィールドに。
別の人格が身体を使いたい時は、共有フィールドの1人に譲渡する。
共有フィールドは、今の君達の状態に近いものを連想してくれればいい。
最も、物理的な身体を見る事は出来ないけどね」
ポカンとする、みちると愛。
顔によく分からないと書いているよう。
「勘違いしてほしくないのは、君達の身体と精神は、個人として在り続ける事だ。
ただ、表面に見えるのが1人というだけ。
多重人格者に内部が近いかもしれない」
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