リスタート

13/14
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/60ページ
「提案なんだけど、まずは、自由に動ける様になった方がいいと思うんだ」 数時間後、フランツが戻るなりそう切り出した。 「ここから出られるの?」 「理論上はね」 凛子の問いに、フランツが笑顔で応える。 「どうするの?」 フランツは説明の仕方を考えてから口を開いた。 「多重人格って分かる?」 自分達も知る言葉が返る。 「え?  ええ」 凛子が頷き、みちると愛が注視する。 3人の中で、役割が決まりつつある。 「例えるなら、『存在位置』が身体で、人格が君達。 この例えで言う、人格が入る共有フィールドを、新たに作る。 身体に顕れるのは1つの人格。 残る2つの人格が、共有フィールドに。 別の人格が身体を使いたい時は、共有フィールドの1人に譲渡する。 共有フィールドは、今の君達の状態に近いものを連想してくれればいい。 最も、物理的な身体を見る事は出来ないけどね」 ポカンとする、みちると愛。 顔によく分からないと書いているよう。 「勘違いしてほしくないのは、君達の身体と精神は、個人として在り続ける事だ。 ただ、表面に見えるのが1人というだけ。 多重人格者に内部が近いかもしれない」
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!