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「その共有フィールドさえあれば、私達は普通に出歩く事が出来るの?」
凛子の問いに、フランツは頷く。
「なら、任せるわ」
凛子が容易く了承し、みちると愛も頷いた。
「え?
これでいいのかい?
言っとくけど、これをすると、根本的な解決策が見付かるまでは戻れないよ?」
あまりの少女達の決断の早さに面食らう。
「構わないわ。
フランツを信じるって、3人で決めたもの。
貴方を信じる事が、私達が帰る為に必要だと思うから。
それに、フランツに頼ってばかりもいられないわ。
私達なりに、帰還の為の方法を探し出してみせる」
少女達の覚悟に、フランツは動揺した。
前代未聞の挑戦なのだ。
万全を期しても、リスクは付き纏う。
今度は、自分が覚悟を決める番だった。
「…分かった。
必ず、期待に応えてみせるよ」
程無くして、フランツの試みは成功し、唯一無二の『多重存在』として、少女達は帰還の為の探求を始めた。
だが、魔法をよく知らない少女達が生き抜くには、この世界は過酷過ぎた。
魔法を知って間もない少女達には、何より経験が欠けている。
だから、得意分野を見付け、役割分担をする事で、他者との経験の差を埋めていった。
『多重存在』を逆手に取り、少女達は、固有の戦闘スタイルを見い出したのである。
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