トライアル

3/31
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/60ページ
「よお、お前が“アトラシア”か。 大層な通り名を持ってるな」 「誰よあんた?」 不意に凛子の前に出てくる、横柄な男と数人の柄の悪い男達。 「なんだったかな? “アトラシア”って、確か創成の女神の1人で、変化と幻惑を司る名だろ?  何でお前みたいな小娘が」 「何が言いたい訳?」 かなりの体格差をものともせず、高圧的な態度を崩さない。 「ちと期待してたんだけどな。 嬢ちゃんの通り名は、近隣にも知られてる。  でもがっかりだぜ。  こんなお子様とは… 子供はお家に帰って、母ちゃんにでも甘えてたらどうだ?」 取り巻きの男達が下品に笑う。 彼女を知る周囲の冒険者達は、敢えて仲介に入ろうとはしない。 これから起こる事が分かっており、楽しみでもあるからだ。 「馬鹿じゃないの? 只の子供がこんなとこにいる訳無いじゃない。  聞こえなかった? 私達は、“タガンザ”を相手に出来るのよ?  ここじゃ私達の方が格上。 足りない脳みそでもう少し学習したら?  この三下」 あまりに容赦の無い言動に、硬直する男達。 周囲から失笑が漏れる。
/60ページ

最初のコメントを投稿しよう!