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「そ、そんなもん知るか!
舐めやがって…」
横柄な男が凛子の襟首を掴もうと手を伸ばしてきた刹那、その姿をみちるに変える。
みちるは伸ばしてきた手の親指を握ると、男を後ろ手に床に抑え込んだ。
「もう、りんちゃん。
ケンカ売るだけ売って、こっちに押し付けないでくれる?」
『何よ。
みちるだって頭にきてたでしょ?』
「それはそうだけど…」
「いててっ!
何だお前!?
どうなってやがる!?」
みちるの下で、うつ伏せでうめく男。
「もうやめなよ。
大人しくしてくれるなら離すよ」
「誰がっ!」
どうやら引き下がる気はないようだ。
「てめえっ!
ヘデロさんを離しやがれ!」
三下の取り巻きの1人が、腰の剣を引き抜いた。
これには、傍観していた冒険者達も目の色を変える。
「お前ら…
ギルドの取り決めを知らないのか?
ここで武器を抜くとはな…」
「う…」
凛子に親しげに話し掛けていた、1人の冒険者の怒気に当てられ、すごすごと抜いた剣を鞘に納める。
「やるなら素手でやれよ。
魔法も無しだ。
まぁ、お前らごときじゃ“アトラシア”に勝てる訳無いけどな」
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