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それに動揺している魔物を、少女は光剣の一振りで襲う。
鋭爪を断ち切り、魔物の頭部と胸元を縦に切り裂いた。
「ギャアァウッ!」
魔物は、石造りの遺跡内に悲鳴を反響させる。
止めとばかりに振るわれた少女の斬撃を、魔物は全力で回避した。
『みちる!』
実体化している少女を呼ぶ内なる声。
呼ばれた少女、みちるも何かに気付き、後方に飛び退いた。
死角から放たれた熱線が、みちるの居た石畳を焼き砕き、粉塵を巻き上げる。
『3体…』
『おお~。
これで全部かな?』
「多分…
あいちゃん、索敵は?」
『継続してたんだけど、直前まで発見出来なかったよ。
魔法も使いこなすなんて、強いね』
あいちゃん改め、愛(あい)の軽い口調に苛立ちを見せる、もう1つの声。
『愛、楽観出来る状況?
囲まれてるのよ?』
『ん…そこはほら、凛子を信頼してるからね』
愛の言葉に、凛子(りんこ)は憮然とした声を上げる。
『ふん。
勝手な言い草だこと』
だが、その声の端々には自信がみなぎる。
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