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「愛。
座標軸の設定は?」
『オッケ~。
いつでもどうぞ!』
凛子は両手を前に翳す。
「鋭眼捉えて鼓動を穿て!
複合式、<アイザリア>!」
漆黒の球体を生み出し、上空へ射ち上げた。
黒球は数十メートル上空で制止、記号の羅列を円形に形成すると、漆黒の、圧縮した魔力の一条を放つ。
それは遺跡内の魔晶石を貫通、粉々に破壊し、そして地面の裂け目を粉砕するや塞いでいった。
効果は、見るまでも無く感じられる。
膨大な魔力の消失が。
一瞬、“アトラシア”にある種の喪失感が沸き上がった。
だがそれでも、先に歩むと決めたから、
「終わったわね。
さ、帰るわよ!」
凛子は不敵に笑う。
これからを、毅然と見据えていく為に。
少女達の探求は続く。
これもまた、そうしたほんの1ページ。
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