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寒い中、何時間も店で飲む女を探し歩く事だった。
先輩ホストに連れられて、手当たり次第、女に声を掛ける。
やっと立ち止まって、話を聞いてくれる女が見付かったかと思えば「死ね」「黙れブサイク」そんな事しか言われなかった。
「ブサイク」なんて20年間生きてきて、一度も言われた事がなかった俺は、落ち込むより先に、その女に怒りが込み上げてきた。
「ブサイクはどっちだよ」
言い返したら、先輩ホストに叩かれたのを今でも覚えている。
何日かキャッチを続けていくうちに、「この女はいける、いけない」の見分け方が多少なりとも身に付いた俺は、先輩ホストに誉められながら、何人もの女を「客」にしていった。
そんな俺は「誉められて伸びるタイプ」だって事が、初めてわかった。
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