サバイバルゲーム

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三者凡退でややムードが悪いものの、裏の守備につく。マウンドには、あの男。市ノ川。肩辺りまで伸びた長髪に、黒縁メガネがトレードマーク。 「フッフッフ…ついに小生の伝説が始ま「プレイ!」 市ノ川の声を遮って、審判がコールした。雄太は心の中で審判ナイス!と思った。 先頭打者の二神が打席に入る。足で軽く打席を慣らしてから、構える。市ノ川が一つフッと笑う。市ノ川は投球モーションに入る。ノーワインドアップから、急に体全体が沈んだ。アンダースロー。かなり低いリリースポイントから、白球が放たれ、右打席の二神へと向かう。 初球は、見逃した。ワンストライク。球速は、だいたい110程度。桐生とはまさに対照的だ。市ノ川が、メガネをずらしながら、返球を受け取る。左翼手の雄太から、「格好つけんな~!」という声が聴こえるが、それを無視して、市ノ川は投球モーションに入った。 2球目は、内角低めにストレート。難しいコースにきたが、二神は振り切った。鈍い音と共に、白球はレフトにふらふらと上がる。雄太が「オーライ!」と言ってからキャッチした。
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