破壊的な打者

2/4
前へ
/99ページ
次へ
続く打者は、二番打者の小松。小松に対し、市ノ川は初球緩いカーブ。対して変化はしていないが、タイミングを外すのには十分だ。振るのが早すぎた小松の打球は、バットの先に当たったハズだが、鋭い快音と共に、ライナーで三遊間を抜いた。 雄太が、「ドンマイ!」と言いながら市ノ川に返球する。市ノ川はそれを受け取り、構える。続く打者は、三番の桐生。早くも送りバントの構えをしている。そして簡単に送りバントをさせ、ツーアウト二塁。ネクストバッターズサークルにいた男がゆっくりと左打席に向かう。 雄太はその男を見て冷や汗が出た。何というのだろうか。他の選手とは、雰囲気が違うのだ。マンガみたいに言えば、オーラ。それが見える。その男は、四番キャッチャーの竜崎。一度、二度と竜崎がスイングする。風切り音が不気味だ。 キャッチャーの朋橋も、敬遠すれば良かったのだが、出来なかった。竜崎の雰囲気に飲まれていたのだ。雄太ですら、飲まれている。直接対峙している市ノ川は、まさに顔面蒼白だ。
/99ページ

最初のコメントを投稿しよう!

35人が本棚に入れています
本棚に追加