高速の男

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回は、四回の表。Aチームは桐生の右腕から放たれる剛球と、カットボールで完全に打ち取られていた。市ノ川も、竜崎に本塁打を打たれた後、何とか1失点で抑え、現在0-3だ。 Aチームベンチでは、先頭打者のアレックスがヘルメットを被り準備をしていた。Aチームメンバーは、未だにノーヒットという事でムードが悪かった。市ノ川も、竜崎に本塁打を打たれた時から、浮かない顔をしている。 そんな中、打席に向かうアレックスを止める男がいた。雄太だ。雄太は、アレックスの肩を掴み、言った。 「暗い顔してんなよ。お前が出なきゃ始まんねーんだ。何もしてねー俺に何か言う資格があるとは思えねーけど、頼む。そろそろ打っとかねーと、ヤバいと思うんだ。お前のその脚で、道を切り開いてくれ。」 雄太はそれだけ言って、ベンチに座った。
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