夕陽の中で 第4章

106/106
前へ
/106ページ
次へ
純二も、そんななおみを姿が見えなくなるまで見送っていた。名古屋駅に着くと、もうみんな集まっていた。 孝行 「先生、遅くなってすみません」 担任 「全員いるな」 孝行 「…なおみだけ置いてきました。純二さんと離れたくないって」 担任 「なに?」 しばらくすると、なおみの姿が見えた。 担任 「いるじゃないか」 孝行 「なおみの心境を言っただけです」 担任 「…そうか。別れを惜しんできたのか」 守 「もうイチャイチャして、当てられっぱなし。俺たち、邪魔者扱いだよな」 こずえ 「でも、なんかいいもの見せてもらったって感じ。私もあんな2人を見習いたい」 全員揃ったので、新幹線に乗った。新幹線は走りはじめ、一路東京へ。なおみは、新幹線のなかで、ずっと外を見ながら物思いに耽っていた。 こずえ 「なおみ、お菓子食べる?」 なおみ 「…」 こずえ 「なおみ?」 なおみ 「あ、ごめん。なに?」 こずえ 「どうしたの?さっきから呼んでるのに…」 なおみ 「ごめんごめん。思い出に浸ってたの」 こずえ 「竹本さんのこと?」 なおみ 「うん。またしばらくの間会えないから、いつまでも思い出せるように、頭に焼き付けてたの。昨日と今日のこと、しっかり思い出してたの」 こずえ 「そうよね。私は俊ちゃんといつでも会えるけど…」 なおみ 「あ~あ、疲れちゃった。東京まで2時間あるから、少し寝ようかな」 こずえ 「うん」 なおみは、純二との再会を夢見ながら一眠りした。
/106ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加