夕陽の中で 第4章

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電話は、捜査課の山本課長に回された。 山本 「はい、捜査課、山本」 英雄 「東京港署の北原と言います」 山本 「あっ、北原さん?俺です、山本雄三です」 英雄 「おぉ、山本か。懐かしいなぁ。元気か」 山本 「はい、北原さんもお元気そうで…。何年振りでしょう」 山本とは、15年前山本が新人警官として英雄と同じ部署に配属になり、ペアを組んでいた。 英雄 「実はな、そっちに竹本という奴がいるだろう。以前うちの部署にいたんだ。どうだ?頑張っているか?」 山本 「はい、しっかりやってますよ」 英雄 「そうか、それならいいんだ。まぁ、今後とも頼むよ」 山本 「はい、わかりました」 英雄 「今いるだろうか」 山本 「はい、代わります」 山本は純二を呼び寄せた。 純二 「もしもし、竹本です」 英雄 「私だ、北原だ」 純二 「署長!ご無沙汰してます」 英雄 「この間は世話になったな」 純二 「いえ、こちらこそお気遣いありがとうございました」 英雄 「いや、礼をしようと思っても、あれくらいしか思いつかなかったもんでな」 純二 「大切に使わさせていただきます。それより、今日はどうしたんですか?」 英雄 「しばらくするとなおみが厄介になるが…」 純二 「その事でしたら僕も楽しみにしてるんです」 英雄 「君の部屋に泊まると言うんだが、いいかね」 純二 「僕は差し支えありません」 英雄 「だが、その…」 純二 「わかってます。約束ですから」 英雄 「そうか、それなら信用しよう。すまんがよろしく頼む」 純二 「わかりました。それでは失礼します」 そして、いよいよ四日市へ出発の日。しかし、今日は8月6日。純二との約束の日は7日だったが、待ちきれず、今日行くことにした。しかし、純二には内緒にしてある。 なおみ 「それじゃ、パパ、ママ、行ってきます」 良子 「気をつけてね」 英雄 「竹本くんに迷惑かけるんじゃないぞ」 なおみ 「は~い」 その頃、四日市北署の純二は、なおみがもうすぐ来るため、最近毎日のようにニタニタしていた。 純二 「いよいよ明日だな。早く明日が来ないかなぁ。名古屋駅で感動の再会。なおみは俺を見つけると、俺に飛びつくだろうな」
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