夕陽の中で 第4章

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なおみ 「…ごめんね。…ごめんね。純二さんが励ましてくれてるの、とてもよく分かってるし、嬉しい。…でも、やっぱり、…帰りたくない。このままずーっと、ここにいたい。もう、純二さんと離れたくないっ!」 純二 「なおみ…」 純二はなおみをきつく抱きしめた。 純二 「馬鹿だなぁ。また会えるじゃないか」 なおみ 「でも…」 純二 「帰らなきゃ…。今回は遊びに来たんじゃないんだし、先生にも迷惑かけるだろう」 なおみ 「…うん、そうだよね」 なおみは、純二に抱きしめられたせいか、段々と落ち着きを取り戻していった。 純二 「…なおみ、お化け屋敷に行こう」 なおみ 「えっ!?」 純二 「あそこなら人も少ないし、真っ暗だし、何したってわからないよ。そのあと観覧車。観覧車は個室だから2きりになれる」 なおみ 「何したってわからないって、何かする気なの?」 純二はただニヤッと笑うだけだった。 純二 「ほら、行くぞ」 なおみ 「う、うん」 お化け屋敷はやはり、係員が入口に1人いるだけで、客はいなかった。 なおみ 「…やっぱり怖いよ」 なおみは、純二の手を引っ張って嫌がる。 純二 「大丈夫だよ。ほら、おいで」 純二は、なおみの肩を抱いて中へ入っていった。 純二 「こんなのみんな作り物だから、ちっとも怖くないよ。音も、俺の声だけ聞いていればいい」 コースのほぼ中央辺りで、2人は立ち止まった。 なおみ 「純二さん、早く出ようよ」 純二 「…しばらくここにいる」 なおみ 「えっ!?」 純二 「…俺、名古屋駅まで送っていくけど、みんなが見てるんだから、この間みたいに泣くんじゃないぞ。正月にはまた会えるんだから」 なおみ 「…うん」 純二 「なおみ…」 なおみ 「…はい」 純二はなおみを抱きしめる。 純二 「俺だって、お前を東京に帰したくない。ずーっと俺の傍にいてほしいと思ってる」 なおみ 「…純二さん」 そして2人は見つめ合い、人もお化けも羨むような熱烈で長いキスをした。なおみは、別れる寂しさと、純二に愛されているという実感に満たされ、涙を流す。キスが終わると再び抱き合った。 純二 「なおみ…」
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