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なおみは、首を横に振った。みんなも驚いていた。なおみはその理由を言った。
なおみ
「近くの駅なら私たちだけだと思うから。…思い切り泣ける」
純二
「なおみ…。いいのか?それで」
なおみ
「…うん。どこで別れても、寂しさや悲しさは同じだもん。時間的に早いか遅いかだけで…」
こずえ
「でも名古屋駅ならそれだけ長く一緒にいられるのよ?いいの?」
なおみ
「…うん」
純二
「…わかったよ。じゃ、桑名駅だな」
桑名駅へは、長島温泉から15分くらいのところにある。集合場所ギリギリに名古屋駅に到着する電車が来るまで、まだ40分ほどの時間があったため、純二となおみ以外の4人は、駅に隣接する銘店街を見に行った。純二となおみは、2人きりで時間まで駅前のロータリーなど、話ながら散歩していた。そして、電車が到着する10分前、みんなが改札口に集まって、純二との別れを惜しんだ。
こずえ
「竹本さん、どうもお世話になりました」
孝行
「ここからは俺たちだけで行けるから」
純二
「でも…」
智子
「わかった!なおみと離れたくないのね」
純二
「そういうわけじゃ…」
なおみ
「…純二さん、ここでいいよ。ありがとう」
純二
「なおみ…」
守
「俺たちは先にホームに行ってるから、ゆっくり来いよ。まだ時間はあるから」
なおみ
「うん、ありがとう」
孝行たちはホームへと消えていった。
純二
「…」
なおみ
「…」
時間的に今は空いていて、周りには誰もいない。
なおみ
「…それじゃ、またね」
純二
「なおみ…」
純二は、なおみを強く抱きしめた。
純二
「なおみ、このまま離したくない」
なおみ
「純二さん…」
なおみは、自分に泣いちゃダメと言い聞かせるが、そう思えば思うほど、涙が溢れてきた。2人は、長い間抱き合ったまま動かなかった。
なおみ
「じゃ、時間だから…」
純二
「…」
純二はゆっくりと手を緩めた。しかし、再び抱きしめ、別れのキスをした。
なおみ
「…純二さん…」
純二
「なおみ…、じゃ、またお正月に…」
なおみ
「うん。さよなら。元気で…」
純二
「なおみも…」
なおみは、純二の姿が見えなくなるまで、何度も振り返った。
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