夕陽の中で 第4章

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早川 「おい、竹本」 純二 「…」 純二は、早川の呼び掛けに気づかず、まだニタニタしている。 早川 「竹本!」 純二 「は、はい!」 純二は驚いて立ち上がった。 早川 「どうしたんだ、さっきから呼んでいるのに」 純二 「すみません、考えごとしてたもんですから…」 早川 「どうせ彼女のこと考えてたんだろう」 純二 「え?どうしてわかったんですか?」 早川 「顔がニタついてたからな」 純二は真っ赤な顔になって、後頭部に手をやった。 田所 「あっ、赤くなった」 純二 「田所さん、やめてくださいよ」 山本 「竹本、もうすぐ彼女がこっちに遊びに来るそうだな」 みんな 「えーー!?」 純二 「課長、どうしてそれを…」 山本 「署長から聞いたんだ。うちの署長と北原さんは、警察学校以来の友人らしい。私の先輩でもあったからな」 純二 「そうだったんですか。それじゃぁ話しが早い。来週の月火とお休みいただきたいんですが…」 山本 「それなんだが…。署長の命令で、彼女がこっちにいる間は休めということなんだ」 純二 「え?」 山本 「署長のご配慮だ。しかも命令だからな」 純二 「しかし、いいんですか?5月に半月以上…」 山本 「命令だと言っとるだろう。ただし、事件が起きれば呼び出すからな」 純二 「はい、ありがとうございます」 それから約2時間後、なおみは名古屋駅に着いた。出発前にインターネットで、どう行けばいいか調べたため、四日市北署の最寄りの駅までは行けた。問題はそこから…。 なおみ 「どうやって行けばいいんだろう」 なおみは駅員に聞いてみた。 なおみ 「すみません、四日市北警察署へはどう行くんですか?」 駅員 「それならその道を左へ行った、次の信号のところだよ」 なおみ 「ありがとうございます」 意外と近かった。 そして警察署の前に立ち、程よい緊張に包まれた。 なおみ 「ここだぁ。純二さん、驚くだろうな」 なおみは北署の中に入った。 まず、カウンターの上に受付という表札がある。次に車庫証明、免許更新、その奥に交通課。配置図などはなかった。 なおみは捜査課の場所がわからず、入口でうろうろしていると、受付の女性が話し掛けてきた。
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