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純二と再び付き合えるようになって1ヶ月、なおみの怪我も記憶もすっかり元通りになり、再び高校生活を楽しく過ごしていた。英雄との仲も元に戻り、親子関係もうまくいっていた。
良子
「なおみが見違えるように元気になって、本当によかったわね」
英雄
「そうだな。なおみにとって竹本くんの存在が、これほどまでとは思ってもみなかったよ。竹本くんだったら、なおみを幸せにしてくれる。今度の事で実感したよ」
良子
「そうね」
それから数日後、あと半月あまりで夏休みに入る、7月始めのある日。
なおみ
「パパ、お願いがあるの」
英雄
「なんだ」
なおみ
「アルバイトしたいんだけどいいかなぁ」
英雄
「お小遣いもらってるだろう」
なおみ
「うん。夏休みに旅行したいなって思って…」
英雄
「竹本くんに会いに行くのか?」
なおみは、英雄の言葉が図星だったので、ドキッとした。
なおみ
「…参ったなぁ、バレちゃったか」
英雄
「何年親子やってると思ってるんだ。それに、竹本くんだって忙しいだろうに…」
なおみ
「だから、純二さんの都合のいい日に合わせて行くの」
英雄
「1人で、アルバイト代で行くのか?」
なおみ
「うん。貯金は下ろしたくないし、お小遣いじゃ足らないから」
英雄
「そうか。じゃぁやってもいいが…」
なおみ
「きゃーっ、ありがとう、パパ」
なおみは思わず英雄に抱きついた。
英雄
「おいおい」
英雄はなおみに抱きつかれて、迷惑そうな顔をしていたが、内心では喜んでいた。
英雄
「旅行の計画書を書いておきなさい」
なおみ
「計画書?」
英雄
「いつ、どこへ行って、どこに泊まる、そこの連絡先などを書くんだ」
なおみ
「大体でいいよね。いつどこへ行くなんて、向こうへ行かないとわからないもん。大丈夫よ。ずーっと純二さんと一緒にいるんだから」
英雄
「そうか。わかっていると思うが、くれぐれも間違いを起こさないよう…」
なおみ
「もう、パパったら…。絶対にないって。私が頼んでも純二さんは絶対にしないもん」
英雄
「…そうか」
数日後、なおみは孝行と駅前のコンビニでアルバイトすることを決めた。学校がある日は夕方5時から9時まで、夏休みに入れば午前中はクラブがあるため、昼1時から9時まで働くことにし、英雄に伝えた。
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