夕陽の中で 第4章

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英雄 「駅前のコンビニか、危なくないか?」 なおみ 「うん、孝行も一緒だから大丈夫よ」 英雄 「そうか。それにしても宿題はいつするんだ?」 なおみ 「空いた時間に。純二さんに会いたいから頑張るの」 純一に、なおみと兄妹ということが知られ、2人の関係が気になっていたため、英雄は純一の事も聞いてみた。 なおみ 「純一くんは別のところ。なんか最近変なのよね。私、避けられてるみたいなの。なにか悪いことしたかなぁ」 英雄 「…」 なおみ 「どうしたの?」 英雄 「いや、なんでもない。アルバイト、やるからにはしっかり働くんだぞ」 なおみ 「はい」 英雄は、純一がなおみの実兄と言うことが、なおみにばれないか心配していた。 次の日、なおみは勇気を出して純一に話し掛けてみた。 なおみ 「純一くん…」 純一 「なんだよ。今、俺、忙しいんだ。じゃぁな」 なおみ 「あっ、待って…」 純一は、そのままどこかへ行ってしまった。なおみは、孝行に相談してみようと思った。 なおみ 「孝行…」 孝行 「おう、なんだ」 なおみ 「相談に乗って…」 孝行 「どうした?」 なおみ 「…最近、純一くんが私に対して冷たいの。私、何か気に入らないことでもしたのかなぁ」 孝行は、いつもならなおみにべったりの純一が、なおみに冷たいと聞き、驚いていた。 孝行 「気のせいじゃないのか?あの純一に限って、なおみに冷たくするなんて考えられないよ」 なおみ 「でもさっきだって話し掛けても、今忙しいからってどっか行っちゃうし…。ねぇ、それとなく聞いてみてくれないかなぁ」 なおみが、本当に悩んでいるように見えた孝行は、その悩みの相談を引き受けることにした。 孝行 「わかったよ。他ならぬなおみの頼みだもんな。聞いといてやるよ」 なおみ 「ありがとう」 放課後、クラブの時間まで少し時間があったため、チャンスだと思い、孝行は純一に話し掛けた。 孝行 「純一、お前、最近なおみに冷たいんだってな」 純一 「…そんな事ないよ」 孝行 「でも、なおみが言ってたぞ」 純一 「気のせいだよ。竹本さんと縒りが戻ったから、そんな風に感じるだけだよ。それよりクラブ行こうぜ」 孝行 「あ、ああ」
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