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孝行
「お前となおみの間になにかあったんじゃないのか?」
純一
「…」
孝行
「なおみ、泣いてたぞ。お前とは友達でいたいのにって」
純一
「…なんでもないよ」
孝行
「あれだけなおみ、なおみって言ってたお前がさ、急に変だよ。何か悩んでるのか?話してみろよ。すっきりするぜ」
純一
「…なおみには言わないって、約束してくれるんなら話してもいい」
孝行
「わかった。絶対になおみには言わない」
純一
「…実は…」
純一は、なおみを無視する理由を話し始めた。それは、純一が実の妹であるなおみを、今でも愛していて、なおみを忘れるために無視しているということだった。
孝行
「えーっ、なんだって!?本当なのか?それ」
純一
「ああ、なおみが事故に遭って入院したとき、お袋と見舞いに行ったんだ。その時、なおみのお袋さんと俺のお袋が話してるのを聞いたんだから、間違いない」
孝行
「そんな事って…。お前もかわいそうなやつだな」
純一
「なおみには絶対に話すなよ」
孝行
「わかったよ。お前のためにも絶対言わないよ」
純一
「サンキュー」
それからしばらく純一との話しは孝行から聞く事が出来なかった。
1学期の期末テストも終わり、いよいよアルバイト開始日。今日から1ヶ月間、四日市への旅費稼ぎのためにアルバイトするのである。クラブ終了後のアルバイトは、かなりきつかった。しかし、なおみは純二に会いたいという気持ちが励みになり、頑張って働いた。
それから半月後、明日から夏休みに入る。しかし、まだなおみは純一に避けられていた。
孝行
「なおみ、こずえ、クラブ行くぞ」
なおみ
「は~い」
こずえ
「なおみ、ごめん。先に行ってて。先生に用事頼まれちゃってさ」
なおみ
「うん、わかった」
孝行
「純一、行くぞ」
なおみ
「あ、純一くん」
純一
「あ?」
なおみ
「あ、あの…」
純一
「なんだよ、早く言えよ」
なおみ
「…どうして?どうして私を避けるの?どうして冷たいの?」
なおみは泣きそうな顔で純一に訴えた。
純一
「…別に、避けたり冷たくしてるわけじゃねーよ。行くぞ、孝行」
孝行
「あ、ああ」
なおみ
「純一くん!」
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