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なおみは、純一が自分に対してなぜ冷たいのか、どうしてもわからなかった。諦めかけていたその日の帰り、なおみは、純一の母親、孝子に会った。
孝子
「あら?なおみちゃんじゃない?」
なおみ
「あっ、おばさま、こんにちは」
孝子
「こんにちは、今帰り?」
なおみ
「はい」
孝子
「よかったら今からうちに来ない?」
なおみ
「すみません。せっかくなんですが、もう少ししたらアルバイトがあるんです」
孝子
「そうなの。残念ね。じゃ、一緒にお茶くらいしない?ねっ、いいでしょ?」
なおみ
「は、はい」
孝子は、なおみを強引に連れて近くの喫茶店に入った。まるで小さい子の手を引くように、なおみの手を引いていった。なおみは、周りを気にして恥ずかしそうにしていたが、孝子の温かい手の温もりが、本当の母親のような錯覚を起こさせていた。孝子にしてみれば、なおみが幼い時に、自分が手を引いてやれなかったから、そうしたかったのだ。
店員
「いらっしゃいませ」
孝子
「ケーキセット2つね」
店員
「ケーキとお飲みものはなにがよろしいですか?」
孝子
「なおみちゃん、何がいい?」
なおみ
「あ、あのー、おばさまと同じもので…」
孝子
「じゃぁフルーツヨーグルトケーキと、飲み物はアイスでね」
店員
「はい、お待ちください」
なおみ
「まだ2回しかお会いしてないのに、こんなによくしていただいて…」
孝子
「何言ってるの。なおみちゃんにはいつも純一がお世話になってるもの。どう?純一と仲良くやってくれてる?」
なおみ
「はい、まぁ」
孝子
「どうしたの?純一にいじめられた?何かされたらすぐに言ってね」
なおみは、孝子があまりにも真剣に自分の話しを聞いてくれるので、嬉しくて泣き出した。
なおみ
「…」
孝子
「あらあら、なおみちゃん、どうしたの?」
注文した物がきたので、食べながら話した。
なおみ
「…おばさま、私…、純一くんに嫌われたかもしれない…」
孝子
「え?どうして?」
なおみ
「純一くん、最近私に対して冷たいんです。話し掛けても無視されるし…」
孝子
「そう。わかったわ。私が叱ってあげる」
なおみ
「おばさま、どうして無視するのか純一くんに聞いてもらえますか?私、納得できなくて…。純一くんの彼女にはなってあげられないけど、友達でいたいから、仲良くしたいから…」
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