夕陽の中で 第4章

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良子 「まぁまぁ、仲のいいこと」 なおみ 「えへへ」 そこへ英雄が帰ってきた。 英雄 「ただいま」 なおみ 「おかえりなさい」 英雄 「なおみ、計画書は書けているのか?」 なおみ 「あともうちょっと。あとで持って行くね」 英雄 「お金は足りるのか?」 なおみ 「大丈夫よ。でもホテル代まで余裕ないし、1人でホテル泊まるのも心細いから、純二さんのアパートに泊めてもらってもいいでしょ?」 英雄 「まぁいいだろう。1人でホテルに泊まるよりは安心できる。竹本くんもわきまえているだろう。くれぐれも間違いだけは起こすな」 なおみ 「わかってるって」 英雄 「1人で行けるのか?」 なおみ 「大丈夫。もう子供じゃないもの。それに冒険するみたいでワクワクしちゃう」 英雄 「好奇心旺盛もいいが、気をつけるんだぞ。スリとか痴漢とか…」 なおみ 「うん」 英雄 「私からも電話しておこう」 なおみ 「じゃ私、勉強してくる」 なおみは旅行する分も宿題しようと張り切っていた。 良子 「あなた、これ、なおみから」 良子は、なおみからもらったお金を、英雄に渡した。 英雄 「何だ?この金は…」 良子 「なおみが、今日バイトの給料日だったんですって。初めて働いて稼いだお金だから、私たちにも使ってほしいって、あの子がくれたの」 英雄 「そうか。そんな事を考えるようになったんだなぁ。嬉しいことだ」 次の日は、なおみが出発する2日前だった。英雄は、四日市北警察署署長の、斎藤寛に電話した。 斎藤 「はい」 受付 「東京港署の北原署長からお電話です」 斎藤 「つないでくれ」 英雄 「もしもし、斎藤?」 斎藤 「おぉ、北原、久しぶりだなぁ。元気か」 英雄 「ああ、お前も元気そうじゃないか」 この2人、まだ警察学校にいた時の同期である。 斎藤 「お蔭様でな。今日はまたどうした」 英雄 「ああ、実はな…」 英雄は、純二の働きぶりや、純二がなおみと付き合ってること、そのなおみが近いうちに四日市へ遊びに行くことを話した。 斎藤 「そうか、竹本はしっかりやっとるぞ。そうそう、竹本のいる捜査課の課長は、お前がよく知ってるやつだ。回すからそのまま待ってろ」 英雄 「ああ」
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