夕陽の中で 第4章

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良子と一緒に玄関を出ると、久志が煙草を吸いながら待っていた。 久志 「よっ、久しぶり」 なおみ 「久志お兄ちゃん」 久志 「東京駅まで送ってやるよ」 なおみ 「ありがとう」 良子 「悪いわね、久志くん」 久志 「いえ、じゃ、行ってきます」 良子 「お願いします」 なおみ 「ママ、私のいない間、新婚時代の気分を味わってね」 良子は珍しく赤くなって照れていた。 良子 「なおみったら…」 東京駅では、まだ半分くらいの生徒しか来てなかった。 なおみ 「お兄ちゃん、ありがとう」 久志 「なおみちゃん、ついでに純二に思い切り甘えて来い。あいつも喜ぶだろうよ」 なおみ 「や、やだぁ」 孝行 「何照れてるんだよ」 久志 「気をつけて行ってこいよ」 なおみ 「ありがとう」 全員揃い、時間が来たので、みんなは電車に乗り込んだ。 こずえ 「あっ、あった。ここ私の席だ」 智子 「なんか、ワクワクするよね」 なおみ 「たくさんいい思い出作ろうね」 こずえ 「うん」 席は班ごとに座ることになっていた。その班も、男女交えて、好きな者同士、気の合う者同士で、5、6人で作っていいことになっていた。 なおみたちは、もちろんこずえと智子、それに孝行、純一、守で作っていて、6組の3班になっていた。 天気にも恵まれ、順調に旅は続いた。そして、待ちに待った自由行動の日。この日は、名古屋を自由研究して、夕方親戚、知人に名古屋駅まで迎えに来てもらうことになっていた。 担任 「では、ここで解散しますが、明日はここに5時に集まるように。迎えに来ていない者、親戚、知人がいない者は、先生たちと一緒に行動するので、その場で待っていなさい。それでは解散」 なおみは背伸びしたりして純二を探した。 なおみ 「純二さん、どこかなぁ」 孝行 「なおみ、純二さんいたか?」 なおみ 「まだ見つからない」 孝行 「守、純二さんに会ったら、ちゃんと謝れよ」 守 「分かってるよ」 しばらくして… 純二 「えーっと、なおみはどこだ?あっ、いた!なおみー!」 なおみ 「あっ、純二さん!会いたかったー」 2人は周りを気にせず抱き合った。 純二 「俺だって…。元気そうで安心したよ」
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