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こずえ
「なおみ、大丈夫?」
なおみ
「う、うん」
孝行
「なんだ?まだ治ってなかったのか?」
純二は、なおみの体のことを、良子から連絡を受けて知っていた。純二がなおみの体を気遣い、荷物を持とうとする。
純二
「なおみ、荷物持ってやるよ」
なおみ
「いいわよ。みんな自分で持ってるんだから」
純二は、周りに聞こえないように小さな声でなおみに言った。
純二
「だってお前、つわりがひどいんだろ?お腹の赤ちゃんにもしものことがあったら…」
なおみ
「誰から聞いたの?その事」
純二
「お母さんに電話もらったんだ。心配だからって」
なおみ
「ママったら…」
純二
「…夏休み、こっちに来た時にできた子だろ?あの痴漢に襲われた夜の…」
なおみ
「えーっ!?あの時は何もしてないって…」
なおみは、純二が本当に、なおみを抱いたような言い方をしたので、驚いて大声になった。
こずえ
「どうしたの?大声だして」
なおみ
「あっ、い、いえ、何も…」
再び小声で純二に向かって言った。
なおみ
「ママから何て聞いてるの?」
純二
「吐き気があるとか、想像妊娠とか、よほど俺の子供がほしかったんだな」
なおみ
「違うもん」
純二
「じゃぁ何?」
なおみ
「…言わな~い」
そこへ先生がなおみたちのところにやってきた。
担任
「おーい、北原」
なおみ
「はい」
純二
「あっ、なおみたちの担任の先生ですか?いつもこいつらがお世話になってます」
担任
「いえ、こちらこそ。あなたが竹本さんですか?北原からいつも話は聞いてますよ」
純二
「先日はお電話ありがとうございました」
担任
「いやいや、話をさせていただいて、一度会ってみたいと思ったんですよ。思ってた通りの人だ」
純二
「なんか照れちゃうな」
担任
「明日の夕方まで、この子たちの事、よろしくお願いします」
純二
「はい!」
担任
「それじゃ」
担任は、また別の家族のところへ挨拶に行った。
なおみ
「何で来たの?」
純二
「車。署の人がワゴン持ってたから借りたんだ」
純二のアパートに到着し、純二はそれぞれ部屋に案内した。
純二
「ここが俺の部屋」
なおみ
「もしかして、また?」
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