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なおみは、いつものようにまた散らかっていると思った。
純二
「そんな訳無いだろう。みんなが来るのに…」
ドアを開けると、部屋の中はきれいにさっぱり片付いていた。なおみは、純二の意外性に驚いていた。あまりにもきれいなので、純二が片付けたのではなく、女性の手が入っていることがすぐにわかった。
なおみ
「あっ、…誰がしたの?」
純二
「俺だよ」
なおみ
「うそ!純二さんはこんなにきれいに片付けないもん。これは絶対女性の人の手が入ってる」
こずえ
「なおみすごーい。見てわかるんだ」
純二
「参ったなぁ。ばれちゃったか」
なおみ
「まさか、交通課の人じゃ…」
純二
「心配するな。実は今日、早川さんの奥さんに手伝ってもらったんだ」
なおみ
「そうだったの。よかった」
純二
「何心配してるんだよ」
なおみ
「だって…。浮気してるんじゃないかと…」
孝行
「純二さんが浮気するわけないじゃん。なおみにしか好かれないし、純二さんもなおみ以外目に入らないのに」
純二
「コラッ!孝行!」
純二は、孝行の頭を軽く叩いた。
孝行
「いてっ」
純二
「まぁとりあえず荷物置いて…」
純二は、隣の陣内明の部屋を案内した。
なおみ
「この部屋って、陣内さんの部屋じゃ…」
純二
「ああ。今日と明日借りたんだ。明は早川さんの家に泊まるんだ」
なおみ
「布団は?」
純二
「訳を話して、早川さんとこと、署のを借りてきたんだ」
なおみ
「…私たちが来たおかげで、他の人にも迷惑かけちゃったんだね」
こずえ
「そうね。やっぱり私たちは先生について行けばよかった」
純二
「なおみ、相変わらずだな、その口癖」
なおみ
「えっ!?」
純二
「人に迷惑かけたくないっていうのもわかるけど、たまに俺の事も頼ってほしいし、甘えてほしいよ。それに、みんな喜んでかしてくれたんだ。心配しなくていいよ」
なおみ
「…ねぇ、まだ早川さんも陣内さんも署にいるよね?あとで署に寄って」
純二
「…わかったよ」
なおみには、約3ヶ月ぶりの四日市北署である。はやる気持ちを抑えながら階段を上がり、捜査課の戸を叩く。
田所
「は~い」
田所が戸を開けると、大勢の高校生と、その向こうに純二が立っているのが見えた。
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