夕陽の中で 第4章

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純二は、2人が気を利かしてくれたことに気づいた。そして、こずえにウインクで合図した。 こずえ 「うん」 なおみ 「こずえ、どうしたの?」 純二 「2人きりにさせてくれたの」 なおみ 「…こずえったら。でも、嬉しい」 純二 「気の利くいい友達だな」 なおみ 「うん。あっ、早くボーリングしようよ」 純二 「よし」 ボーリング場とゲームコーナーは、同じ建物の中にあり、隣同士でゲームコーナーからはボーリング場がよく見える。守はゲームをしながら、なおみが気になり、時々ボーリング場の方を見ていた。しかし、それを孝行に気づかれた。 孝行 「守、お前、さっきからなおみばかり見ているだろう」 守 「え!?そんなことないよ」 孝行 「うそつけ!俺、さっきからずーっと見てたんだぞ。諦めろって。お前がかなう相手じゃないよ、純二さんは」 守 「分かってるんだけど…、今もあの2人を見てて思ったんだ。俺のはいる隙間がないって…」 孝行 「そりゃそうだよ。いろんな試練を2人で乗り越えてきたんだからな。俺は2人が付き合う前から、ずーっと見てきたから、わかるんだ。2人の絆はそう簡単には崩れないよ」 その時、突然なおみの大きな声が聞こえてきた。 なおみ 「わーっ、純二さんすごーい。ストライクばっかり」 純二 「コツを教えてやるよ」 そして、なおみの番。純二に優しく指導を受け、ボールを投げると、見事ストライクになった。 なおみ 「キャーッ、ストライクだぁ」 純二 「よし、その調子」 なおみはニコニコしている。それも、普段人に見せないような笑顔で笑っている。 孝行 「見ろよ、あの嬉しそうな顔。俺たちの前じゃ、あんな顔見せたことないぜ」 守 「竹本さん、それだけなおみに信頼されてるんだ」 一汗かいた後、みんなは隣の建物の天然温泉へ行った。今日はまだ時間が早いせいか、人は疎らである。そんな中、こずえたちは、はしゃいでいた。 こずえ 「早く早く」 なおみ 「こずえ、走ると転ぶよ」 こずえ 「だって…、こんな温泉、初めてなんだもん。全部のお風呂に入ろう」 智子 「わーっ、外もあるよ」 なおみ 「もう、まるで子供なんだから」 3人は、タオルを浴槽の外に置き、湯舟に浸かった。
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