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人との出会いとは突然とやって来るものだ。
それは何の前触れもなく訪れることだってある。
だが、あの出会いはあまりにも突然すぎて、今でも信じらないほどの出会いだった。
と言うか、信じたくもない。
だって、あんなとこで出会うなんて誰も予想出来やしないだろうしな。
その日はまだ、5月の中旬だと言うのに真夏並と言ってもいいほどのむし暑さだった。
俺はいつものように林高への道を歩いていた。
あまりの暑さに俺はもう汗だくになり、今にも意識が何処かに飛ぶんじゃないかと言うくらいダウン寸前であった。
そんな俺の肩を後ろから誰かが叩いてきた。
「よぉ、元気か?」
俺の肩を叩いてきたのは、友達と言うには少し迷うが、運動神経だけはそこそこ良く、中学時代からの付き合いになる久藤だった。
付き合いになると言っても中一の時以外同じクラスになった覚えはないが。
俺はまっすぐ前を見たまま
「これが元気そうに見えるか?」と返事した。
「何だよ。元気じゃねーのか? たく、だらしねーな~」
コイツはこんな暑さの中で元気だと言うのか?
「そんなんだからお前の周りにはロクに女が近寄ってこないのだ」
「別にそんなもんどーでもいい」
と言うかお前、人の事言えた口か?
「ケッ…面白くねーの」
何がどう面白くないのか知らないが、久藤はそう言って溜め息を吐いた。
気付けばもう林高の校門前まで来ていた。
俺と久藤は一緒に校舎へと入った。
下駄箱で靴を上履きに履き替え、教室へと向う。
教室はいつも通りの騒がしさだった。
俺は鞄を置こうと自分の席がある窓際の最後尾へと足を運ばせ、席につく。
因みに久藤は俺のすぐ右隣の席だ。
俺は閉まっていた窓を全開に開けて、窓の外を眺めながら涼んでいると、
「おはよう」
と突然前から挨拶されたので、俺は前を向いた。
そこにいたのは、俺の前に席を持つこれまた中学時代のからの友人と言うべきなのだろう篠原だった。
俺は再び窓の外に視線を向けて
「おう」と返事した。
「どうしたのよ? 元気ないじゃない」
「暑いからな」
「暑いだけで元気失われちゃったわけ?」
「うるさい。少し黙っててくれ」
「何よもう! そんなんだからアンタはモテないのよ!」
オイオイ、まさか篠原にまで久藤と同じようこと言われるとは……
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