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そこまで俺の女への無縁の無さオーラ的なものがにじみ出ていると言うのか?
「それよりアンタ、ちゃんと勉強してるんでしょうね?」
勉強? 何のことだ?
「まさかもう忘れたの? 中間よ中間! もう一週間前なんだから、昨日勝負だって言ったじゃない!」
あ~、何かそんなことを昨日の放課後に言われたような気がするな。
「いい! 絶対私負けないからね! 分かった?」と篠原は無駄にデカイ声で言った。
「はいはい」
と俺は気が抜けた声で了解した。
「おい、そこうるせーぞ。少しは静かに出来んのか?」
と突然俺の右隣で寝ていた久藤が俺と篠原の会話に入ってきた。
「ちょっとアンタ何朝っぱらから寝てんのよ! 少しは勉強しなさいよ!」と篠原。
「勉強? そんなもんやったって何も変わりゃしねーよ俺は」
確かにそうかもしれないな久藤の場合。だってコイツ、授業中は寝てばっかりだもんな。
「そっか、アンタはただの運動バカだったってわけね。もう呆れてものも言えないわ」
と言って篠原は溜め息を吐いた。
「んだと! 俺だってなぁ、や、やれば出来るさ勉強ぐらい!」と久藤は怒鳴った。
「あら、そう。じゃあ見せてもらおうじゃないの。アンタの実力ってヤツ」
「ああ、いいとも! あとで泣いたって知らねーからな!」
「泣くのはどっちかね~」
あーぁ、また始まったよ。久藤と篠原の無駄な意地の張り合いが。
こうなるともう誰もこの二人を止められやしないからな。
とりあえず俺は、その場から離れてトイレへと向かった。
この時の俺はただ、久藤と篠原の意地の張り合いが済むまで、トイレで待機するつもりだったのに、まさかそのためだけに向かったトイレで、さらに事を大きくする出来事が起こるとは思ってもいなかった。
俺はトイレに入ってすぐに気付いた。
何やらトイレの奥の方から微かだが、妙な声が聞こえてくるのだ。
俺は何かと思ってトイレの奥へと進んでみることにした。
声は奥に進む事に大きくなってきた。
どうやら声は一番奥のただこのトイレに一つしかない洋式の便器がある個室の中から聞こえてくるようだ。
俺は少しドキドキしながら、その個室のドアに耳を当ててみると、
「あ~、気持ちいいわ~、やっぱこう言う暑い日にはこれに限るわ~」
とはっきり聞こえた。
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