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オレ達の両親は、不慮の事故で海に投げ出された。 親戚の人からそう聞いた。 だからオレ達は、両親の最期を見ていない。 最後の日に掛けた言葉すら覚えていない。 それが心残りだった。 それは姉ちゃんも同じだと思っていた。 なのに―― 「どういう事か説明してくれよ!」 オレは、オレだけが取り残されたような気がして、少し強めに姉ちゃんに言った。 その時、 「私も、お母さん達の最期は見てない。 二人で出掛ける日の――事故の前日に渡されたんだ」 「……事故の…前日?」 「そう。 今思えば、葵の15歳の誕生日を祝えない事が…… 分かってたのかな…って」
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