2人が本棚に入れています
本棚に追加
居間に入ると、テーブルの上には既に出来上がっている朝食が並んでいた。
そして、イスに静かに座っている姉ちゃんの姿。
「葵、そこに座りな」
姉ちゃんの向かい側の席を顎で差され、そこへ大人しく座るオレ。
「…」
「…」
沈黙がオレ達を包む。
目の前の朝食の匂いだけがその場に留まっていた。
「……姉ちゃ――」
「葵」
沈黙を破るためにオレが声を掛けたと同時に、姉ちゃんがオレの名を呼んだ。
「……何?」
「――お誕生日、おめでとう」
……
へっ?
「はっ?」
思いがけない姉ちゃんの言葉に拍子抜けした声を出してしまった。
と同時に、今日がオレの誕生日ということに、当のオレ自体が今更ながら気付いた。
最初のコメントを投稿しよう!