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魔王は絶対女の子だ。
ぼくは常々にそう思う。
だって女の子ほど難しく複雑で何を考えているか分からない存在はいない。
それに、何より女の子は強く逞しい。
ぼくはリュックを背負い、軽く駆け足で賑わう街の中を走った。白い建物が目立つ、清潔感のある街並み。白の街は日差しを反射させ、眩いほど明るい。
実際、少し目がちかちかと眩む。
ぼくは顔を上に向ける。街の中心にある、長く伸びた大きな建物が見える。あれは大教会。今ぼくが向かっている場所。
大教会はこの世界でもっとも大きな建物。そして、この世界を救った偉大な女神様の像がある。
その女神像が見たくて、ぼくはいつものように大教会へと向かっているんだ。彼女はもっとも美しく、気高く、強い、心までもが清らかで美しい方だ。
あの方が今も生きていたら…。そう思わずにはいられない。
教会の前まで来ると、教会を警備する教団員がいる。白地に青のラインが入ったしわひとつない制服を着て、シャンと背筋を伸ばして立っている。
よく見かける青い髪をした若い団員だ。
ぼくは足を止めて、「こんにちは!」と団員に挨拶をする。
「ひかる。今日も来たんだね。真面目なものだな」団員は笑顔で、しかしどこか威圧感がある声で言った。団員が自分の名前を覚えてくれていることが嬉しくて少し気分が高揚する。
「はい。女神さまにまたお会いしたくて」
ぼくはそう応え、軽く会釈して教会の中に向かう。
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