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彼女は睨むような目つきをして女神さまを見ていた。
睨んでるつもりはないのかもしれないけど、ぼくにはそう見える。
そろそろこの場を離れようとしたとき、「あなた」と高い声がぼくの背中を叩いた。
振り返ると、先ほどの女の子が睨むようにぼくを見ている。
「はい」とぼくは応える。
「あなた、何しにここへ?」
「えっと…お祈りをしに」
「本当?」
何を疑う必要があるのか、彼女は目を細め、訝しむ目つきでぼくを見つめる。
「本当だけど…」
ぼくが応えると、彼女は「ふーん」と上から下までぼくを眺め、「まぁ女の子か男の子か分からないようなあなたが、強いわけないわね。まだ子供だし」と傷つく言葉を発した。
「えぇ?」
それは、よく言われることではあるけど、年齢だって彼女と同じくらいだ。
なんだか落ち込んでしまう。
「足を止めてしまって申し訳なかったわ。ごめんなさい。」彼女はさらりと誤り、また女神さまを見上げる。
ぼくはとりあえず、その場にいることが少しだけ気まずかったのでその場を後にする。
教会の出入り口まで来ると、教団員に「ひかる」と声をかけられる。
「はい、何か?」
「上之宮孃を見かけなかったか」
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