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困っている人を見ると、どうしても声を掛けずにはいられない。
僕は通学途中の交差点付近で見かけた『こりゃ思いっきり迷子だな』って感じの男の子に近付いていた。
見た目的には、小学校中学年から高学年ぐらいのイメージだった。
半そで短パンから出る白く華奢な腕と脚。
珍しいなと思ったのは、彼の短い髪が銀色であることぐらいだろうか。
HRが始まるまで、まだ結構時間もある。
この子を家に送り届けても、きっと学校には間に合うだろう。
「どうしたの? もしかして道迷った?」
僕は警戒されないように、優しく微笑みながら声をかけた。
……のだが、
「は?」
どうやら、思いっきり警戒されてしまっていた。
此方を睨み上げて来る彼の強張った表情に、僕は少したじろぐ。
だけど、声をかけてしまった以上、ここで引き下がったら余計に変な目で見られるかもしれない。
警戒を解いてもらえるよう、僕は笑顔のまま再び声を掛けた。
「いや、キョロキョロしてたし凄い不安そうな顔してたから、もしかしたら迷ったのかなって思って」
「ハッ、莫迦じゃん。別に迷ってないから」
その子は鼻で笑いながらそう言った後、ツンとそっぽを向く。
そして次に、こう続けた。
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