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「ただ……どうやって家に帰ったらいいのか分かんないだけだし」 「迷ってるよね!? それ絶対迷ってるって言うよね!?」  い、いけない。  つい取り乱して初対面の子に突っ込んでしまった。  でも、彼が迷っているのはどうやら間違いない。 「い、言わないから! 厳密には、家に帰れないのと迷ってるっていうのは色々違うんだよ! 分かる!?」 「ど、どう違うの?」 「だ、だァから、違うんだって! ボクが違うって言ってるんだから、違うんだっての!」  駄々っ子みたいに彼は反論してくる。  あぁ何かもう、その辺はどうでもよくなってきたや。 「分かった。じゃあ……家に帰れないんだっけ?」 「そうだよ! 文句あんの!?」  いやしかし……自分の家に帰れないって、それはそれでどうなのかな。  小学生でも、一人で家にぐらい帰れると思うんだけど。 「文句あんのかって聞いてるんだけど!?」 「あぁ……ごめん。ないです」  何で僕は負けてるんだろう。  ……ていうか気がつけば、何か男の子の方から僕に突っかかってくるようになってるし。 「ったく……にしても困ったな。ここが何処なのか、どっから歩いて来たのかさっぱり分かんない」  彼はそう呟きながら、腰に手を当て周囲を見渡した。  確かにこの辺りは住宅街であり細い路地も結構多いから、初めて来た人なんかは迷う事もあるのかもしれない。  小さい頃からこの辺に住んでる僕は、もうこの近辺の地理は大体把握してるけど。  
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