守護神

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―ここは地球とは別の世界― 「はぁ…はぁ…もう嫌だ…絶対勝てない…」 夜の街の中、傷だらけの一人の男が路地裏を逃げる。 ―この世界は魔法が日常生活に取り込まれ、学園では魔法が授業に盛り込まれている― 「おい、逃げるなよ。 追い掛けるのも楽じゃないんだぜ?」 「ひっ!?」 突然逃げる男の前にフワリと黒いローブを纏った男が現れ、男の行く手を塞ぐ。 ―平和な世界ではあるが、魔法を使った犯罪が絶えず、警備隊が存在し、警備隊も魔法を使って犯罪を摘発する― 「お前、片桐の手先の者だろ?」 「ちっ、違う!そんな奴知らない!」 男はそんな奴知らない。だから逃がしてくれと言わんばかりに膝を折る。 ―その警備隊の中で選りすぐられた者で編成される部隊…この世界では守護神と呼ばれている― 「…はて、じゃぁお前の右手のエンブレムはどこの紋章だ?」 「っ!!」 ローブを羽織った男に右手を指さされた男は慌てて左手で隠すが、時すでに遅し。 「それは片桐の紋章だよな?」 ―今、犯罪組織の中で一番警戒しているのは…片桐をボスとする『黒天』― 「畜生!!」 男はくるりと方向転換し、また逃げ出した。 「全く…何回逃げれば気が済むんだか」 ローブを羽織った男は溜め息をつくと、右手を前に掲げた。 ―片桐は色々な犯罪に手を染めるが、尻尾が掴めず、顔も性別も年齢も知れていない― ローブの男の右手に黒い霧が巻き付く。 『アーズ・チェイン(闇の鎖)』 ローブの男の右手から黒い紐が飛び出し、逃げる男に向かって伸びる。 ―今、守護神は片桐を全力で探している― 「うわっ!!」 黒い鎖が男の全身に巻き付き、男は身動きが取れずに地面に倒れた。 ローブの男が力強く鎖を引くと、男はローブの男に引き寄せられ、ローブの男に襟元を掴まれた。
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