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その優哉の言葉で初めて渡辺巡査部長の顔色に変化があった。
「あのとき犯人は我々と一緒に現場にいました。そして一瞬の隙をついて現場から立ち去ったのです」
そして優哉はゆっくりとそのトリックについて語りだした。
「あの部屋のキッチンの下にある空間の壁の両端に同じような傷が2つありました。さらに部屋の鏡にも同様の傷。これでピンときたんですよ」
俺が話すにしたがって渡辺巡査部長の表情に動揺が広がっていく。
「そう、犯人は鏡を持ってキッチンの下の空間に隠れたんです。このホテルの床の色とキッチンの色は全く同じ。鏡を盾のようにして置けば、反射により鏡が床を映し出して見た目には人が隠れているようには見えませんからね」
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