1166人が本棚に入れています
本棚に追加
「さらにあなたのこともある筋を使って調べさせてもらいました」
ある筋とはむろん警察庁刑事局長─優哉の父親である博幸のことだ。
「その結果、非常に興味深いことが分かりましたよ。あなたには弘孝(ヒロタカ)という弟さんがいるそうですね。しかも現場であるホテルに勤めている」
優哉が微かに笑みを浮かべながらそう言う。
「それだったら…ホテルの鍵を持ち出すことくらいなんてことないですよね。坂田を殺したのは弟さんであなたがそれを指示した。違いますか?」
優哉はそう彼女に言い放った。
優哉の言葉に彼女─渡辺巡査部長は沈黙を続ける。
「だんまりですか……まあいいでしょう。なら決定的な証拠をお話ししましょう」
いよいよ優哉の推理が最終楽章へと入った。
最初のコメントを投稿しよう!