人形

3/7
前へ
/40ページ
次へ
アウネリスの腕が、ウルの左胸に潜り込んでいる。 流血はしていない。 アウネリスはまるで、心臓をえぐり出すかのように、ゆっくりと腕を引き抜いた。 ウルの左胸のあたりに、光を放つ円陣がいくつか現れる。 そして、アウネリスの右手に掴まれている物は。 一冊の本だった。 「私は、かわいいウルのほうが好きよ」 そう言いながら、アウネリスは本のページをめくる。 そして、ある文章の部分を見つけると、まるで書き直しているかのように、指でなぞった。 アウネリスはそれを終えると満足そうに本を閉じ、ウルの左胸の中に戻した。 光を放つ円陣も消えた。 すぐに、ウルの体に変化が起きた。 顔立ちが幾分やわらかくなり、少女特有の淡い胸のふくらみが現れた。 「マム…」 大剣の重みに耐え切れず、ウルは持っていた大剣から、手を離した。 「女の子の姿でだって戦えるでしょ? この姿なら素早く動けるから、攻撃を受けずに、勝てるじゃない」 「うん」 そんな、会話をしながら、アウネリスは楽しそうにウルの服を脱がす。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加