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こんこん、とノックの音が部屋に響いた。
「どうぞ~」
アウネリスが入室許可を出すと、扉がゆっくりと開いた。
「アウネリス様、お茶をお持ちしました」
現われたのは、淡い金色の髪の少女だった。凛とした青い目が印象的だ。
「ありがとう」
少女はテーブルにティーセットを並べた。そして、お茶をカップに注ぐ。
「あらぁ? ウルってば、この子に興味があるの?」
「え!?」
ウルは自分に驚いた。どうやら、淡い金色の髪の少女を見つめていたらしい。それを見て、アウネリスは面白そうにしている。
「ち、違うよ! ちゃんとした金色の髪を見るのは、初めてだからっ…」
「ふふ。この子はねぇ、最近、この国に来た人間よ。名前は…えーと…」
「アニエラです」
少女アニエラは、短く答えた。
「そう! アニエラちゃんよ」
この国では、人間という種族のほとんが隷民として働いている。
隷民とは仕える者ことで、簡単に言ってしまえば、護衛や召使だ。
だからといって、乱暴に扱われているわけではない。生活はある程度、保障されている。この国では、隷民は財産であり、一種のステータスだからだ。
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