忘れてしまう物・・・・

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ドアを開けるとそこには、 「何やってんだ、志穂?」 やっぱり志穂が居た。 「あれ? 信ちゃんがなんで居るの?」 「だからそれはこっちのセリフだ」 「私は、見ての通り練習だよ」 「お前なぁ。昼休みくらい休めよ、志穂はいつも頑張ってるんだから」 こいつはいつもそうだ。 他の人が休んでいる時も自分は頑張っている。 「さっきも言ったけど、志穂は信ちゃんの為ならいくらでも練習に励むって」 「なら、俺の為に休め」 「っえ? でも………」 そこで迷われても困るのだが。 「俺は志穂が疲れてる所は見たくないからな」 「うん、わかったよ」 俺は、志穂の頭を撫でた。 「飯は、食ったのか?」 「まだだよ」 「じゃあ、何か買ってきてやるよ」 「まって、もう少しこのまま」 「わかったよ」 頭を撫でられるのが昔から好きだったけ……………。 「もう泣くなよ、痛いのは解るけどさ」 「いたいよぉ~いたいよぉ」 志穂は泣いていた。 何かに躓いた様だ。それにしても見事な転けっぷりだな。 「わかったから、泣くなよ………な?」 「歩けないよぉ………ぐすっ」 確かに志穂の膝からは血がでていた。 「わかった、なら俺がおぶってやるから」 「ぐすっ………ホントに?」 「ああ、だからもう泣くな」 くしゃくしゃと頭を撫でてやった。 「…………うん」 志穂は、まるで痛くなくなった見たいに微笑んだ。 「さぁ、もう帰ろうか」 背中に乗っている志穂から返事はない。 「………すぅ、………すぅ」 泣き疲れて寝ていた。 「仕方がないな」 志穂を起こさないように家路についた。
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